共同研究契約について

更新日:11月4日



  1. 共同研究契約とは

  2. 共同研究契約と知的財産権

  3.  共同研究と職務発明

  4. 共同研究契約と独占禁止法

  5.  共同研究と改良発明

  6. 共同研究契約の概要

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共同研究契約とは


共同研究契約とは、製品の開発や技術革新を目的として、大学と企業、研究者と企業、あるいは企業と企業など、複数の当事者間において、共同で研究を実施することを目的として締結される契約です。


共同研究契約においては、共同研究目的の設定をはじめ、業務の分担や費用負担など、研究の実施に直接関わる事項の他に、秘密の保持、特許出願権の帰属や特許出願後の実施権の設定についてなど、研究後の成果物の取り扱いについてもあわせて合意がなされます。


共同研究中   → 成果物の完成 → 成果物の行使

業務分担、費用負担 → 出願権の帰属 → 実施権の帰属


これは多くの場合に、研究費用の見返りとして成果物の帰属が決定されるため、共同研究契約において、これらを同時に合意しておく必要があるためと言えます。そのため共同研究契約は、研究の実施契約とライセンス契約が結びついた複合的な契約であると言えます。


費用負担 ← 見返り → 成果物の帰属

研究実施契約 →  共同研究契約 ← ライセンス契約


近年、国立大学の大学法人化に伴い研究費の取得のため、企業の費用負担の下で、成果物又はその実施権を企業が取得する形での産学連携が積極的に推進されています。私立大学の研究者が研究を実施する場合には、その大学の内部規則によっては、研究者個人が契約の当事者となることも考えられます。


なおアカデミズムが関与する契約であることの特色として、その成果物を学会や学術誌に投稿することによる研究成果の公表が、研究者から要望されることがあります。この場合には、特許権の出願時の新規性や非公知性についても要件を充足することができるよう、そのスケジュールを当事者間で慎重に検討する必要があります。


研究者の権利      企業の権利

研究成果の公表 ← →  特許権の出願


研究成果を製品化して事業化することが構想されている場合には、その事業化の段階に応じて、複数の共同研究契約が締結されることもあります。この場合には、それぞれの契約が他の契約と秘密保持や特許権の帰属で抵触することがないよう、各当事者の役割分担をあらかじめ検討しておかなければなりません。



共同研究契約と知的財産権


共同研究契約はライセンス契約としての性格を併せ持つため、その研究成果である知的財産権について、出願時の持分をはじめとして、その帰属や権利行使について合意しておかなければなりません。また国際特許出願手続きであるPCT出願をする場合には、国内での審査手続きに対して、PCT出願手続きが先行するため、これらの出願時のスケジュールについても協議しておくことが望ましいと言えます。


権利の帰属の態様としては、当事者間で共有として均等に所有するケースの他、〇%と〇%として異なる割合で所有するケース、また一方当事者が完全に所有するケースも考えられます。いずれの場合においても、各当事者の実施権の行使方法については、それぞれ無償で行使できると規定する方法の他、一方当事者に専用実施権を設定して対価である実施料を他方に支払う方法など、様々な組み合わせが考えられます。


なおこれとは別に、契約内容通りの権利処理が可能となるように、各当事者において必要な措置を講じる必要があります。特許法上、特許出願の権利は、原則として、発明の技術的思想の創作に寄与した者である発明者に、原始的に帰属します。そのため何らの権利処理も行わない場合、発明者である個々の研究担当者に特許が帰属し、共同研究契約で定めた持分を実現できない恐れがあります。


共同研究と職務発明


これに対し、就業規則等で職務発明に係る特許の出願権を使用者が取得することとしたときは、使用者がその出願権を原始的に取得することができます。この場合には、発明者には発明に対する相当な利益の請求権が発生します。共同研究契約の実施のためには、このような社内規則の整備も検討しなければなりません。


また研究業務の一部を第三者に委託していた場合には、これらの第三者とも知的財産権の取り扱いについて合意しておく必要があります。


共同研究契約と独占禁止法


原則として、ライセンス契約に対しては独占禁止法は適用されません。それは、独占禁止法21条が

この法律の規定は、著作権、特許、実用新案、意匠又は商標による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。

と定めているためです。


共同研究と改良発明


しかし他の事業者の競争機会を阻害し、知的財産権の趣旨を逸脱した権利行使に対しては、独占禁止法が適用されます。具体的には、研究開発の成果物についての改良発明を制限したり、改良発明に対する専用実施権の設定を強制したりすることは、不公正な取引方法に該当する可能性が高い行為とされています。


そのため共同研究契約においてこうした取り決めをした場合には、独占禁止法に違反するおそれがあるため、注意が必要です。ただし、共同研究期間中において、同一のテーマについての研究を制限することは、原則として不公正な取引方法に該当しないとされています。また知的財産権上の保護を受けることができないノウハウについては、その使用を制限することも、独占禁止法上の合理性が認められる余地が大きいと言えます。


共同研究契約の概要

 

共同研究契約とは、大学や研究者及び企業の間での共同での研究開発の実施のために締結される契約であり、研究開発の成果物に関するライセンス契約としての側面も有しています。また成果物の知的財産権の帰属の他に、研究成果の学会発表等、アカデミズムについても考慮する必要があります。


また知的財産権の権利処理のために、共同研究契約とは別に各当事者が内部での権利処理をしなければなりません。ライセンス契約に対しては原則として独占禁止法上の問題は生じませんが、研究活動の制限など特定の行為については、なお独占禁止法上の検討が必要となります。


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