契約書に潜むリスク


契約書は、法の世界の航路図です。安全な航海のために、契約書をチェックしましょう。


相手方の契約書に潜むリスク


 あらゆる取引において、契約書はその基本を形作る最も重要な書類とされています。それは契約書が当事者の権利義務に関する合意を書面にしたものであり、その取引において相手方に対してどのような権利を有し義務を負うかは、契約書により定まるからです。


 民法上は意思主義が採用されているため、たとえ口頭の合意であっても契約は何ら問題なく成立します。ただし口頭で決められる内容には限りがあり、証拠としても不十分です。そのため多くの場合には契約書が作成され、両当事者がこれに記名押印をし、その内容に合意したことを明確にします。


 このように契約書は合意内容を書面にした意志表示であるため、契約書の内容について後から「その条項については知らなかった」と主張してその責任を免れることは、相手方から提示された契約書であるためにたとえ本当に読み落としていたとしても、極めて困難です。


 例えば、アウトソーシングしていた業務を内製化するために、委託先との契約を解除しようとした場合に、業務委託契約において「当事者は、解除の通知をして六ヶ月後に、本契約を解除することができる。」との解除条項がある場合には、少なくとも半年間はタイムスケジュールを遅らせる必要に迫られることになります。


 このような契約条項の読み落としがある場合は、そもそもそのリスクを知らないままに問題を放置してしまうことになりますから、取り返しのつかない事態になる可能性があります。また契約書を通読していた場合であっても、その表現が専門的であるために、法律知識がなければ正しく理解できず、不測のリスクを抱えてしまう可能性もあります。


 こうしたリスクを回避するためには、契約書をしっかりと締結前に確認する必要があります。しかし契約書には法律要件と法律効果を明確に定義するための専門的な言い回しや技術的な条項が多々あり、その解釈やあてはめには専門的な法律知識が不可欠となります。


雛型に潜むリスク


 現在ではウェブ検索機能の向上により、インターネット上でほとんどありとあらゆる情報を入手することができます。法律知識についてもその例外ではなく、契約書の雛型もウェブ上からダウンロードできる場合があります。このような雛型には、経済産業省などの省庁や業界団体が策定したものも含まれ、即時に廉価で一般的な内容の契約書を用意できることから、非常に便利であることは間違いありません。


 ただし雛型はあくまでも一般的な内容の契約書であるため、その使用には制約やリスクが伴います。例えばその雛形の公開日付が半年以上前のものである場合には、民法や会社法をはじめとする法律や政省令その他のガイドラインが改正されていたときに、その改正内容を反映していないリスクがあります。


 また契約書とは別に口頭やメールでの合意がある場合に、雛型の契約書にはこうした合意の取り扱いが記載されないため、コミュニケーションエラーの原因となります。さらに雛形においては契約の目的や対象物についても概括的に記載されている場合が多いため、相手方と複数の取引があるときには、どの契約がどの取引に対するものか混乱が生じる可能性があります。このような理解や認識の行き違いは、必要のない紛争の種となります。


 また雛型を使用するにあたっても、雛型を正しく使用するためには、やはり法律的な知識が必要となります。例えば使用する雛型を決定するにあたり、その取引が代理店契約であるか業務委託契約であるか判断が難しいケースもあり、誤った雛型を使用して契約を締結すると、本来持っていた権利や利益を自ら損ねてしまうリスクもあります。


 一方で雛型がそもそも使用できないようなケースも考えられます。その契約書で契約する取引が新規事業やニッチ業務に関するものであったり、三者契約のように多数の当事者が関与するような複雑な契約であるような場合には、雛形が想定するような一般的な取引とは言えないため、オリジナルの契約書が必要となります。


 さらに契約書においては契約の締結日の他にも、契約の有効期間や残存条項の残存期間など複数の期間が合意されることが多く、こうした各期間の設定は、雛形を使用する場合でも個別に定める必要があります。


メル行政書士事務所にできること


 当事務所では、契約書に関して、以下のサービスを提供しています。契約書についてお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

  1. 契約書・定型約款の作成

  2. 契約書・定型約款のチェック

  3. 英文契約書の作成・翻訳

  4. 定型約款の届出

  5. 契約書・定型約款に関する法律相談