top of page

​マイナビ出版

AI vs 法

​進む世界のAI規制と遅れる日本

本書は、近年のAI(人工知能)の発展について、AIと法規制という観点から、その全体像を見通すことを試みるものです。今まさにEUでは、人類史上初となるAI法の立法が進められ、2023年末にも成立する見込みです。さらに米国でも大統領府においてAI法案が準備され、中国でも立法計画に「人工知能法」が明記されました。そうした中で我が国日本は、AIイノベーションを導く法制度の形成に対し、諸外国に対して遅れをとりつつあります。

4839984638.MAIN.jpg

​世界で進むAI規制・AI法の制定

先行する中国・EU

ChatGPTや画像生成AIをはじめとする生成AIの普及は、ビジネスに革新をもたらしつつある一方で、著作権をめぐる問題やプライバシー保護の問題をはじめ、様々な法的なリスクも生じさせています。このような状況を受けて、EUは、2023年4月に欧州委員会が「AI法」を採択し、同年6月には欧州議会も修正案を議決しました。

 

また中国も、2023年6月に生成AI規制法を施行し、同年の立法計画に「人工知能法」の制定を盛り込みました。このように世界各国でAIを規制する動向が広まっています。

AI法の目的

A​i法は、これまで既存の刑法、競争法、製造物責任法、個人情報保護法などの拡張解釈で規制されてきたAIの利活用に伴うリスクを、AIという観点からまとめなおし、それを包括的に規制する​新たな法律となります。​警察による捜査目的でのAI利用に対する人権保護の観点からする規制や、建設用・医療用AIなどの安全性が特に重要なAIなどがその対象となり、標準規格や外部監査制度の導入などが企図されています。EUのAI法においては、生成AIに関しても「限定的リスクAI」として規制が施される予定となっています。

日本のAI規制

​本は、このような包括的なAI法の立法計画で遅れを取りつつあります。日本は、ガイドラインの制定をはじめとするソフトな規制によって、あくまで現行法の延長でAIを規制するという姿勢を取ってきたことがその背景となります。​そのため米欧や中国で罰則規定が導入されているディープフェイクやデータ保護のような分野においても、いまのところ日本では特段のAI規制は導入されていません。しかし諸外国でのAI法の立法が進んだ場合、これが国際的なデファクトスタンダードとなると、日本のAI利権が脅かされる恐れもあります。

成AIは、これまでの創作活動やビジネス活動に大きな変動をもたらしつつあります。画像生成AIの力を借りて誰もが簡単にイメージを作れたり、ChatGPTでカスタマーサポートなどの業務を自動化することが進められています。一方で、生成AIの普及は、その生成コンテンツの取り扱いや、学習に用いるデータの権利処理をめぐって、新たな著作権上の問題も提起しています。これに対しては、文化庁による講座の公開「A I と著作権」など、政府による啓発活動も行われています。しかし生成AIが起こしつつある問題は、生成コンテンツの著作権上の保護やディープフェイクによるリスクをはじめとして、現行法で解決困難な根深い問題を含み、今後のさらなる議論の深まりが必要となるでしょう。

生成AIと著作権

クラウドをペイント

AIvs法

拙著「AIvs法では、こうした世界各国のAI法の立法動向をはじめ、生成AIと著作権の問題、生成AIのビジネス上の法的リスク、AIとプライバシーなどの問題を取り扱い、最新の動向を踏まえて、掘り下げています。AIの利活用を予定しているビジネスパーソンやクリエイターの皆さん、これからAIとどう向き合うべきか考えたいという方は、ぜひ手に取って読んでみて下さい。

bottom of page